身元保証人がいないとき|
施設に入れないと言われたら
頼める人が、思い浮かばない。きょうだいはいるけれど、頼んだら断られた。子どもはいない。配偶者は先に亡くなった。親戚とは、もう長く行き来がない——。
そこで手が止まってしまい、施設探しそのものを諦めかけている方がいます。これは、その人の人付き合いの問題ではありません。いま日本で、ごく普通に起きていることです。
そして、方法がまったくないわけではありません。この記事では、施設が身元保証人に何を求めているのか、「保証人がいないことだけを理由に断るのは適切でない」とされていること、成年後見制度との関係、民間の身元保証サービスを考えるときの注意点、そして公的な相談先を、順に整理します。
まず知っていただきたいのは、これは一人で抱える必要のない問題だということです。
「必ず入居できます」「この方法なら大丈夫です」といった断定はしていません。施設の運用は一つひとつ異なり、契約や法律に関わる判断は、個々の事情によって結論が変わるからです。
実際に進めるときは、地域包括支援センター・市区町村の高齢福祉の窓口・担当のケアマネジャーにご相談ください。契約や法的な判断が必要な場面では、弁護士・司法書士などの専門家へ。
また、特定の民間サービスをすすめることも、否定することもしていません。書けるのは「こういう仕組みがある」「契約前にここを確認するとよい」というところまでだと考えています。
① 「頼める人がいない」のは、あなただけではありません
施設の申込書を前にして、保証人の欄で手が止まる。この場面は、いま本当に多くの家庭で起きています。
理由はさまざまです。
- 子どもがいない、または遠方にいて疎遠になっている
- 配偶者がすでに亡くなっている、あるいは配偶者自身も高齢で保証人になれない
- きょうだいに頼んだが断られた——「自分にも家族がいるから」「お金のことは背負えない」
- きょうだい自身が高齢で、施設側から断られてしまった——保証人にも年齢や収入の条件があることがあります
- 親戚とは長く行き来がなく、いまさら頼めない
- お願いできる相手はいるが、その人に金銭的な負担をかけたくない
- 家族関係に事情があって、頼るという選択肢がない
ここで、ひとつお伝えしておきたいことがあります。
きょうだいに断られたことを、責める必要はありません。身元保証人になるということは、場合によっては費用の支払いを背負う立場になるということです。断るのにも、それなりの理由があります。そこで感情的にぶつかってしまうと、これから先の介護そのものが進まなくなります。
きょうだいとの話し合いについては、介護をきょうだいでどう分担するかで、揉めにくい進め方を整理しています。「保証人になってほしい」ではなく「保証人の役割のうち、この部分だけ引き受けてもらえないか」という聞き方に変えると、話が動くことがあります(⑥で詳しく書きます)。
そして、多くの施設が保証人を求めているのも事実です
厚生労働省の資料の中で紹介されている調査では、入所(入院・入居)のときに本人以外の署名を求めている施設が95.9%にのぼる、という結果が示されています。つまり、ほとんどの施設で「保証人の欄」があるということです。
だから、あなたがつまずいたのは当然のことなのです。制度と現実のあいだに、まだ隙間がある——そういう状態だと考えてください。
ただし、「求められる」ことと「いなければ絶対に入れない」ことは、同じではありません。ここが、この記事のいちばん大事なところです。④でくわしく書きます。
② そもそも身元保証人は、何を求められているのか
話を進める前に、施設が身元保証人に何を期待しているのかを分解しておきます。ここが分かると、次の一手が見えてきます。
というのも、「身元保証人」という言葉はいくつもの役割をひとまとめにした呼び名だからです。中身は、大きく5つに分けられます。
| 求められる役割 | 具体的にどういうことか |
|---|---|
| 1. 費用の支払いの保証 | 本人の年金や預貯金で利用料が払えなくなったとき、代わりに支払う、あるいは支払いについて責任を負うという役割です。施設側がいちばん心配しているのは、多くの場合ここです |
| 2. 緊急時の連絡先 | 体調が急変した、転倒した、夜間に救急搬送になった——そのときに連絡がつく相手。「連絡がつく人がいない」ことは、施設にとって切実な不安です |
| 3. 医療や治療方針についての相談相手 | 入院が必要になったとき、手術や治療の方針を決めるとき、本人の意思が確認しづらいときに、医療機関や施設が相談する相手です。本人に代わって「決める」というより、本人の意向をいちばんよく知っている人として意見を求められる立場と考えるほうが実態に近いです |
| 4. 退所するときの対応 | 退所や転院のときの手続き、居室の片付け、荷物の引き取り、費用の精算など |
| 5. 亡くなったあとの対応 | ご遺体の引き取り、葬儀、居室に残った荷物の整理、未払い分の精算など。いわゆる「死後事務」と呼ばれる部分です |
けれど実際には、役割ごとに、担い手が違ってもよいのです。
たとえば——緊急連絡先だけは甥にお願いする。費用の支払いは本人の年金から口座振替にする。医療の相談は担当のケアマネジャーと施設の相談員に間に入ってもらう。こうやって分けていくと、「頼めない」が「ここまでなら頼める」に変わることがあります。
施設に相談するときも、「保証人はいません」で終わらせず、「この役割はこうできます」と一つずつ話すほうが、話が進みやすくなります。詳しくは⑥で書きます。
施設側の不安を、いちど想像してみる
身元保証人を求める施設が「意地悪をしている」わけではありません。施設の側にも、現実的な不安があります。
利用料が支払われなくなったらどうするか。夜中に容態が急変したとき、誰に連絡すればいいのか。手術が必要になったとき、誰と話せばいいのか。亡くなったあと、ご遺体と荷物をどうするのか。——どれも、施設だけでは決められないことばかりです。
だからこそ、この不安に一つずつ答えていく形で相談すると、施設も動きやすくなります。「保証人がいないから無理です」と言われたときに、「では、どの部分が心配ですか」と聞き返してみる。そこから話が始まることがあります。
③ 身元保証人・身元引受人・連帯保証人の違い
施設の書類には、いろいろな言葉が出てきます。「身元保証人」「身元引受人」「連帯保証人」——似ているようで、意味するところが違います。
まず前提として、「身元保証人」「身元引受人」という言葉は、介護施設の場面では法律できっちり定義されたものではありません。施設ごとに使い方が違い、同じ言葉でも中身が異なることがあります。だからこそ、書類にどう書いてあるかではなく、「具体的に何を求められているのか」を確認することが大事です。
| 呼び方 | 一般的にどういう役割とされているか |
|---|---|
| 身元保証人 | いちばん広い意味で使われる言葉です。緊急時の連絡、医療や治療方針の相談、退所時の対応、費用の支払いの保証まで、②で挙げた役割をまとめて指すことが多いです。施設によっては、実質的に連帯保証人と同じ内容を求めていることもあります |
| 身元引受人 | 一般的には、退所するときや亡くなったときに、本人の身柄や荷物を引き取り、手続きや精算を行う役割を指すとされます。お金の保証よりも「引き取る」ことに重点がある言い方です。ただし、これも施設によって使い方が異なります |
| 連帯保証人 | これは法律にはっきりと定めのあるものです。本人が支払わないときに、本人と同じ立場で支払う義務を負います。「本人に払わせてください」と主張することができない、責任の重い立場です。お金の話に絞られているぶん、意味は明確です |
2020年4月1日に施行された改正民法により、個人が保証人となる「根保証契約」(将来にわたって生じる不特定の債務を保証する契約)については、保証人が責任を負う上限額=「極度額」を定めなければ、その保証契約は効力を生じないとされました(民法第465条の2)。法務省もこの点を広く周知しています。
施設の入居契約に付く保証も、毎月の利用料という「これから発生する不特定の債務」を保証するものですから、この考え方が及ぶと説明されることが一般的です。実際に、契約書に「極度額 ◯◯円」と書かれるようになった施設が多くあります。
ですから、保証人をお願いする側も、お願いされる側も、「いくらまでの責任なのか」を必ず確認してください。「上限が書いてあるなら引き受けられる」と考えが変わる方もいます。
ただし、個々の契約がどう扱われるかは、契約の書き方や状況によって判断が分かれることがあります。この記事で結論をお伝えすることはできません。契約内容に疑問がある場合は、弁護士・司法書士などの専門家にご確認ください。
- その欄は「連帯保証人」か「身元引受人」か——名称だけでなく、条文に何が書かれているかを読む
- お金の保証が含まれているか——含まれているなら、上限額(極度額)はいくらか
- お金以外に何を求められているか——緊急連絡、医療の相談、退所時の対応、亡くなったあとの対応
- 複数人で分担できる形になっているか——「身元引受人」と「連帯保証人」を別の人が担う書式になっている施設もあります
- 保証人が途中でいなくなった場合どうなるか——高齢の保証人にお願いする場合は、ここも確認しておくと安心です
- 分からないところは、その場で聞く——「ここはどういう意味ですか」と聞いて、はっきり答えてくれるかどうかも、施設を見るときの一つの目安になります
④ 「いないことだけを理由に断るのは適切でない」とされています
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。
厚生労働省は、身元保証人等がいないことのみを理由に、介護保険施設が入所を拒んだり退所を求めたりすることは適切ではない、という趣旨の通知を出しています。
この通知の中で、次の趣旨が示されています。
「介護保険施設に関する法令上は身元保証人等を求める規定はなく、各施設の基準省令においても、正当な理由なくサービスの提供を拒否することはできないこととされており、入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは、サービス提供を拒否する正当な理由には該当しない」
そのうえで都道府県などに対し、介護保険施設が「身元保証人等がいないことのみを理由に入所を拒むことや退所を求めるといった不適切な取扱い」を行うことのないよう、適切に指導・監督を行うことが求められています。
なお、この通知は令和7年(2025年)7月30日付で一部改正され、「身元保証等高齢者サポート事業」という呼び方が「高齢者等終身サポート事業」に改められています(介護保険最新情報Vol.1409)。
「正当な理由のない提供拒否の禁止」とは
少し補足します。介護保険施設(特別養護老人ホーム=介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院など)には、運営のルールを定めた「基準省令」があります。
その中に、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないという趣旨の定めが置かれています。そして厚生労働省の通知は、「身元保証人等がいないこと」は、この『正当な理由』には当たらないと述べているわけです。
言いかえると、こういうことになります。
- 法律や省令に「身元保証人を立てなさい」という決まりはありません
- にもかかわらず、多くの施設が慣行として保証人を求めています
- そして厚生労働省は、保証人がいないことだけを理由に断るのは適切でないとしています
- つまり、「保証人がいないので無理です」で話が終わるのは、本来の姿ではありません
通知が言っているのは、「身元保証人等がいないこと『のみ』を理由に拒むのは適切でない」ということです。「誰でも必ず入れる」という意味ではありません。
施設には定員があり、待機している方がいます。医療的なケアが必要で対応が難しい場合もあります。要介護度や年齢の条件が合わないこともあります。そうした事情による断りは、また別の話です。
また、この通知は介護保険施設に向けたものが中心です。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などは、民間の事業者と本人との契約になるため、事情が異なる部分があります。
それでも——「保証人がいないから」と言われた時点で諦めてしまう必要はありません。相談してみる価値は、十分にあります。それが、この章でお伝えしたいことです。
個別の施設の対応について判断が必要な場合や、不当な扱いを受けていると感じる場合は、市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターにご相談ください。
断られる理由は、保証人以外にもいくつかあります。老人ホームに入れない・断られる理由と対処法で、よくある理由と、そのときにできることを整理しています。
⑤ 施設に、どう相談すればよいか
では、実際にどう話せばよいのでしょうか。
結論から言うと、隠さず、率直に、早い段階で伝えるのがいちばんです。
申し込みが進んでから「実は保証人がいません」となると、施設側も準備ができません。最初の見学や相談の時点で伝えておくほうが、施設としても対応を考える時間がとれます。
伝え方の例
| 避けたい伝え方 | 話が進みやすい伝え方 |
|---|---|
| 保証人がいないんですが、入れますか | 身元保証人をお願いできる家族がいません。こうした場合、こちらの施設ではどのような形で受け入れていらっしゃいますか |
| (何も言わずに申し込む) | 保証人の欄について、先にご相談したいことがあります |
| 厚労省の通知では断れないはずですよね | 費用の支払いについては年金と預貯金でこのように考えています。緊急の連絡先は◯◯にお願いできます。それ以外に、どの部分がご心配でしょうか |
| とにかく何とかしてください | 私たちで用意できる部分と、難しい部分があります。難しい部分について、どうすればよいか一緒に考えていただけませんか |
施設の相談員も、多くの場合は「なんとかしてあげたい」と思っています。ただ、施設としての心配(費用が滞ったら、急変時に連絡がつかなかったら、亡くなったあとどうするのか)に、答えが出せないでいるのです。
ですから、「その心配に、こういう形なら答えられます」と一つずつ示していくほうが、結果的に話が進みます。
そのうえで、もし「保証人がいないから」というだけで一律に断られてしまうようであれば、そのときは地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談してみてください。間に入ってもらえることがあります。
一人で行かないこと
もし、すでに要介護認定を受けていて担当のケアマネジャーがいるなら、相談の場に同席してもらうことを考えてみてください。
ケアマネジャーは、地域の施設の事情をよく知っています。「あの施設はこういう形で受け入れた実績がある」といった情報を持っていることがありますし、施設側も専門職が間にいると話がしやすくなります。
要介護認定を受けていない、担当のケアマネジャーがいないという場合は、地域包括支援センターが窓口になります(⑩でくわしく書きます)。
⑥ 保証人の役割を「分けて」考える
②で書いたとおり、身元保証人には5つの役割があります。この5つを、それぞれ別の形で埋めていく——これが、いちばん現実的な進め方です。
一つずつ見ていきます。
1. 費用の支払いについて
- 年金の額と、月々の利用料の見込みを並べて説明する——「年金が月◯万円、利用料が月◯万円で、差額は預貯金から」
- 口座振替(自動引き落とし)にする——滞納が起きにくい形にすることは、それ自体が安心材料になります
- 預貯金の状況を、可能な範囲で伝える——通帳の残高すべてを見せる必要はありませんが、「◯年分は確保できています」という説明は意味を持ちます
- 負担を軽くする制度を確認する——特定入所者介護サービス費(補足給付)、高額介護サービス費、高額医療・高額介護合算療養費などの仕組みがあります。介護施設の費用でも触れていますが、該当するかどうかは市区町村の窓口で確認してください
- 生活保護を受けている、または検討している場合——市区町村の福祉の窓口にご相談ください。受け入れの形が変わることがあります
2. 緊急時の連絡先について
ここは、「支払いの責任は負わないが、連絡先にはなる」という形で引き受けてもらえることがあります。
きょうだいに「保証人になって」と頼んで断られた場合でも、「お金のことは求めません。何かあったときに電話がつながる先になってくれるだけでいい」と伝え直すと、返事が変わることがあります。甥や姪、いとこ、長年の友人でも構わないという施設もあります。
まったく心当たりがない場合も、諦めないでください。成年後見人が選任されていれば、その方が連絡先になることが多いですし、施設によっては市区町村や地域包括支援センターとの連携で対応している例もあります。
3. 医療や治療方針の相談について
後述するとおり、成年後見人にも、手術などの医療行為に同意する権限は法律上認められていないと説明されるのが一般的です。
厚生労働省は、身寄りがない方の入院や、医療にかかる意思決定が難しい方への支援について、医療機関向けのガイドラインを示しています。医療の現場では、本人の意思をできるだけ確認しながら、関係者で話し合って進めるという考え方がとられています。
だからこそ、本人が元気なうちに「自分はどうしてほしいか」を書き残しておくことが、実際にはいちばん役に立ちます。延命について、入院について、どこで最期を迎えたいか。形式は問いません。書いたものがあるだけで、周りの人が判断に迷わずに済みます。
ここは重い話題です。無理に急ぐ必要はありませんが、話せるうちに一度でも話しておけると、後になって本当に助かります。
4・5. 退所時と、亡くなったあとの対応について
この2つは、いちばん「頼める人がいない」となりやすい部分です。荷物の引き取り、居室の明け渡し、費用の精算、ご遺体の引き取り、葬儀——どれも、その場にいる人が必要になります。
ここについては、死後事務委任契約という仕組みがあります。⑨でくわしく書きます。
① 費用の支払い → 年金+預貯金、口座振替、負担軽減の制度を確認
② 緊急連絡先 → 誰にお願いできるか(お金の責任は求めない形で)
③ 医療の相談 → 本人の希望を書き残す、ケアマネジャー・施設の相談員と共有
④ 退所時の対応 → 誰が対応できるか、できないなら何を使うか
⑤ 亡くなったあと → 死後事務委任契約などの仕組みを検討する
埋まらない欄があっても構いません。その「埋まらない欄」を持って、地域包括支援センターに相談に行く——それが、いちばん確実な進め方です。
⑦ 成年後見制度は、身元保証人の代わりになるのか
この質問は、とてもよく出てきます。そして、答えは「代わりにはなりません」です。
ここは誤解が多いところなので、ていねいに説明します。
成年後見制度とは
成年後見制度は、認知症などで判断する力が十分でなくなった方について、家庭裁判所が選んだ人(成年後見人など)が、本人に代わって財産の管理や、契約などの手続きを行う仕組みです。
後見人になるのは、親族の場合もあれば、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職の場合もあります。誰を選ぶかは、家庭裁判所が決めます。
後見人が「できること」と「できないこと」
| できるとされていること | できないとされていること |
|---|---|
| 財産の管理——預貯金の管理、年金の受け取り、施設の利用料の支払い | 本人の債務を保証すること——後見人が保証人になることは、一般に想定されていません |
| 契約などの手続き——施設の入所契約を本人に代わって結ぶ、必要な手続きを行う(身上保護と呼ばれます) | 手術などの医療行為への同意——法律上、後見人に同意する権限は認められていないと説明されるのが一般的です |
| 本人の生活や療養の状況を見守り、必要な手配をすること | 介護そのものや、日常の身の回りの世話——後見人が直接おこなう役割ではありません |
| 連絡先としての役割——実務上、施設からの連絡先になっていることが多いです | 亡くなったあとの対応——後見人の職務は、本人が亡くなると原則として終了します。一部の手続きを行える定めはありますが、範囲が限られています |
1つめ。役割が違うからです。身元保証人に求められるのは、支払いの保証や、亡くなったあとの対応です。成年後見人の仕事は、本人の財産を守り、本人のために手続きをすることです。保証人は「本人の代わりに責任を負う人」、後見人は「本人のために動く人」——立場そのものが違います。
2つめ。利益が相反してしまうからです。後見人は、本人の財産が正しく使われているかを見る立場です。その人が同時に保証人になると、自分で自分をチェックすることになってしまいます。だから一般には、後見人が保証人を兼ねることは避けるべきだと考えられています。
施設が心配している5つのうち、「費用の支払いが確実に行われるか」「契約や手続きを誰が進めるか」「連絡がつく相手がいるか」——このあたりは、後見人がいることで実際に安心につながります。本人の財産から利用料が支払われる仕組みができるからです。
実際に、「保証人はいないが、成年後見人がついているので受け入れます」という施設もあります。ですから、後見制度を使うかどうかは、選択肢として検討する価値があります。
ただし、後見制度は「保証人がいないから使う」ものではありません。本人の判断する力が十分でなくなっているときに、本人を守るために使う制度です。ここを取り違えないようにしてください。
費用がかかります。申立てのときの費用(申立手数料、鑑定が必要な場合の鑑定費用など)に加え、専門職が後見人になった場合は報酬が継続的に発生します。金額は本人の財産の状況などをふまえて家庭裁判所が決めます。
途中でやめにくい仕組みでした。従来の運用では、いったん始めると原則として本人が亡くなるまで続き、「用事が済んだのでやめます」ということが難しいとされてきました。この点は、実際に使った家族から負担が大きいと指摘されてきた部分です。
後見人を家族が選べるとは限りません。誰を選任するかは家庭裁判所が決めます。希望どおりにならないこともあります。
財産の使い方に制限がかかります。本人の財産は本人のために使うのが原則で、家族の判断だけで自由に動かすことはできなくなります。
手続きに時間がかかります。申立てから選任までに数か月かかることがあります。施設入居に間に合わせたい場合は、早めの相談が必要です。
報道や各専門家の解説によれば、民法などの改正法が2026年(令和8年)6月に国会で成立し、同月中に公布されました。「後見・保佐・補助」の3つの類型を見直すこと、必要な期間だけ利用して終えられる仕組みを設けることなどが内容に含まれるとされています。
ただし、施行の時期は今後の政令で定められることになっており、実際に新しい仕組みが使えるようになるのは先になる見込みと説明されています。
いま検討している方にとっては、「近いうちに制度が変わる」という前提で相談したほうがよい、ということになります。改正の内容や施行の時期については、法務省の案内や、司法書士・弁護士などの専門家に、必ず最新の情報をご確認ください。この記事では詳しい説明はいたしません。
もう一つの選択肢——日常生活自立支援事業
後見制度ほど大がかりではない仕組みとして、社会福祉協議会が行っている「日常生活自立支援事業」があります。あまり知られていませんが、知っておく価値のある制度です。
| 項目 | 日常生活自立支援事業の内容(一般的な説明) |
|---|---|
| やっているところ | 都道府県・指定都市の社会福祉協議会が実施主体となり、市区町村の社会福祉協議会などが窓口になっています |
| 対象になる方 | 認知症、知的障害、精神障害などにより判断する力が十分でない方で、この事業の契約内容を理解できる程度の力はある方とされています。判断する力がかなり低下している場合は、成年後見制度のほうが対象になります |
| してもらえること | 福祉サービスの利用の手助け(情報の提供、手続きの援助)、日常的なお金の管理(公共料金の支払い、生活費の引き出しなど)、通帳や証書などの書類の預かりといった支援です |
| 費用 | 相談や支援計画をつくる段階は無料とされていることが多く、実際の援助には1回あたりの利用料がかかります。金額は実施主体によって異なりますので、お住まいの地域の社会福祉協議会にご確認ください |
| 身元保証人の代わりになるか | なりません。この事業は日常生活の範囲の支援であり、施設の保証人になる制度ではありません。ただし、お金の管理が安定することで、利用料の支払いの見通しが立ちやすくなるという意味では、間接的に助けになる場合があります |
成年後見制度と日常生活自立支援事業のどちらが向いているかは、本人の状態と必要な支援によって変わります。まずは地域包括支援センターか、お住まいの市区町村の社会福祉協議会に相談してみてください。「どちらがよいか分からない」という状態で相談して構いません。
⑧ 民間の身元保証サービスについて
「身元保証サービス」「高齢者サポートサービス」といった名前で、民間の事業者が身元保証を引き受けるサービスがあります。国の資料では「高齢者等終身サポート事業」という呼び方が使われるようになりました。
この記事では、すすめることも、やめたほうがよいと言うこともしません。実際に助かっている方がいる一方で、契約をめぐるトラブルの相談も寄せられているのが現状です。ですから、「どういう仕組みか」と「契約の前に確認したいこと」だけをお伝えします。
どんなサービスなのか
| サービスの種類 | 内容(事業者によって異なります) |
|---|---|
| 身元保証等サービス | 施設への入所や病院への入院のときに、身元保証人・身元引受人としての役割を引き受けるもの。緊急時の連絡先になる、費用の支払いを保証する、といった内容が含まれることがあります |
| 日常生活支援サービス | 買い物の付き添い、通院の同行、安否の確認、お金の管理の手伝いなど、日々の暮らしを支えるもの |
| 死後事務サービス | 亡くなったあとの葬儀や納骨、役所への届出、荷物の整理、各種の解約手続きなどを引き受けるもの |
事業者によって、この3つを組み合わせた「セット」になっていることもあれば、必要なものだけ選べることもあります。運営しているのは、一般社団法人、NPO法人、株式会社などさまざまです。
国が「ガイドライン」を作っています
このガイドラインは、事業者が適正に事業を行うための指針であると同時に、利用する側が事業者を見るときの目安にもなるものと位置づけられています。
たとえば費用について、入会金や預託金などを区分して示すこと、サービスを利用するたびに支払う費用がある場合はその旨を明確に示すことが重要だとされています。また、預託金から差し引く形で費用を支払う場合には、差し引かれた金額と内容を明らかにすることが望ましいとされています。
消費者庁も「いわゆる『高齢者等終身サポート事業』の利用に関する注意点」として、サービス内容や自身の支払い能力を確認すること、困ったときは消費生活センターや地域包括支援センターに相談することを案内しています。
ガイドラインには法的な強制力があるわけではありませんが、「このガイドラインに沿っていますか」と事業者に確認してみることはできます。
寄せられている相談として、次のような内容が紹介されています。
契約時のトラブル——契約の内容を十分に理解できていないまま、高額な契約をしてしまった。「この金額以外はかかりません」と説明されたのに、サービスを使うたびに別の請求が来た。
解約時のトラブル——解約したいと申し出たら、返金の額に納得できなかった。
必要以上に広い契約になっていた——身元引受けだけをお願いするつもりだったのに、日常のお金の管理から亡くなったあとのことまで、生涯にわたる契約になっていた。
こうした相談があるからといって、すべての事業者に問題があるわけではありません。誠実に運営しているところもあります。
大事なのは、「良い事業者を見分ける」ことよりも、「確認すべきことを、こちらから確認する」ことだと思います。
契約の前に確認したいこと
- 1. 何をしてもらえるのか、書面に具体的に書かれているか——「身元保証」という言葉だけでは分かりません。緊急時の対応、入院時の対応、支払いの保証、亡くなったあとのこと。一つずつ、書面で確認してください
- 2. 費用の内訳が分かれているか——入会金、預託金、月々の費用、使うたびにかかる費用。「総額いくら」だけの説明では足りません。とくに預託金は、何にどう使われるのかを確認してください
- 3. 預けたお金がどう管理されるか——事業者の運営資金と分けて管理されているか、使ったときにどう報告されるか
- 4. 解約するときの条件と、返金の計算方法——ここは必ず、契約する前に確認してください。後から揉めやすいのが、いちばんここです
- 5. 事業者が倒産したらどうなるか——長い年月にわたる契約です。「そのときはどうなりますか」と聞いてよい質問です
- 6. 必要のないサービスまで含まれていないか——「これは要りません」と言えるか。セットでしか契約できない場合、その理由を聞いてみてください
- 7. その場で契約させようとしないか——持ち帰って考える時間をくれるかどうか。急がせる相手とは、いったん距離を置いて構いません
- 8. 一人で契約しないこと——家族、ケアマネジャー、地域包括支援センターの職員など、誰かに同席してもらうか、契約書を見てもらってください。金額が大きい場合や内容が複雑な場合は、弁護士・司法書士などの専門家に見てもらうことも考えてください
消費生活センター——全国共通の消費者ホットライン「188(いやや)」に電話すると、近くの相談窓口につないでもらえます。契約してしまったあとでも相談できますが、契約の前に聞くほうが、ずっと選択肢が広いです。
地域包括支援センター——地域の事情を知っている専門職がいます。「こういうサービスを勧められたのですが」と聞いてみてください。
担当のケアマネジャー——すでに介護サービスを使っているなら、まずここに相談するのが早いこともあります。
⑨ 亡くなったあとのこと——葬儀・遺品・費用
重い話になりますが、避けて通れない部分なので、淡々と書きます。
身元保証人が求められる役割のうち、いちばん代わりを見つけにくいのが「亡くなったあとの対応」です。ご遺体の引き取り、葬儀や納骨、居室に残った荷物の整理、未払い分の精算、各種の解約手続き——これらを誰がするのか、という問題です。
死後事務委任契約という仕組み
頼める内容の例としては、葬儀や納骨、火葬に関する手配、役所への届出、医療費や施設利用料の精算、住まいの片付けや明け渡し、公共料金や各種契約の解約などがあります。
依頼する相手は、信頼できる親族や知人の場合もありますし、司法書士・弁護士・行政書士などの専門家が引き受けることもあります。民間の身元保証サービスの一部として提供されている場合もあります。
費用をどこから出すかを、契約のときに決めておく必要があります。葬儀費用も、片付けの費用も、実費がかかるからです。ここが決まっていないと、いざというときに動けません。
なお、財産を誰に引き継ぐかという「相続」の話とは別のものです。遺言書とセットで考えたほうがよい場合もあります。ここは専門家に相談すべき領域なので、この記事では仕組みの紹介にとどめます。
「疎遠だから伝えなくていい」と考えたくなるかもしれませんが、亡くなったあとには連絡が行くことが多いものです。契約したこと、誰に頼んだこと、費用をどこから出すことになっているかを、一言でも伝えておくほうが、後の混乱を防げます。
また、相続に関する争いの解決や訴訟の代理は、弁護士でなければできないとされています。死後事務を引き受けた人が、相続の争いまで扱えるわけではありません。この点も知っておいてください。
誰も引き取る人がいない場合
身寄りがまったくなく、費用も出せないという場合について、書いておきます。
そのような場合でも、亡くなった方が放置されるわけではありません。法律にもとづき、市区町村が火葬や埋葬を行う仕組みがあります。生活保護を受けている方については、葬祭に関する扶助の制度もあります。
ただし、これらは「誰も対応する人がいないときの最後の受け皿」です。具体的にどうなるか、どういう手続きになるかは、自治体によって運用が異なります。心配な場合は、お住まいの市区町村の福祉の窓口にご相談ください。
お伝えしたいのは、「行き場がなくなるわけではない」ということです。不安の中で一番こわいのは、先が見えないことです。窓口があると知っているだけでも、少し違うと思います。
本人の希望を、書き残しておくこと
- 葬儀はどうしてほしいか——してほしい/しなくてよい、宗派、規模
- お墓はどうするか——先祖の墓に入りたい、永代供養を希望する、散骨を望むなど
- 誰に連絡してほしいか——名前と連絡先。疎遠な親族でも、書いておくと助かります
- 荷物や貴重品をどうしてほしいか
- 加入している保険、預貯金のある金融機関——手続きをする人が探さずに済みます
- 延命治療についての希望——⑥でも触れましたが、書いてあると周囲が迷いません
⑩ 頼れる公的な相談先
ここまで読んで、「結局どこに行けばいいのか」と思われたかもしれません。整理します。
迷ったら、地域包括支援センターです。ここが出発点だと思ってください。
| 相談先 | どんなことを相談できるか |
|---|---|
| 地域包括支援センター | いちばん最初に行くところです。高齢者の暮らし全般の相談窓口で、市区町村が設置しています。保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどの専門職がいます。相談は無料で、本人でなく家族からでも相談できます。「保証人がいなくて施設の話が進まない」という相談を、そのまま持ち込んで構いません。地域の施設の事情も知っています |
| 市区町村の高齢福祉・介護保険の窓口 | 介護保険の手続き、費用の負担を軽くする制度、生活保護、その他の公的な支援について。施設の対応に納得がいかない場合の相談先でもあります(介護保険施設は市区町村・都道府県の指導監督を受けています) |
| 社会福祉協議会 | 日常生活自立支援事業(⑦で説明)の窓口です。お金の管理や書類の預かりについて相談できます。地域によっては、生活の困りごとに関する相談や、ちょっとした生活支援の仕組みを持っているところもあります |
| 担当のケアマネジャー | すでに介護サービスを使っている場合は、まずここへ。施設との橋渡しをしてくれることがあります |
| 消費生活センター(消費者ホットライン188) | 民間のサービスの契約について、不安があるとき、トラブルになったとき。契約する前でも相談できます |
| 弁護士・司法書士など | 契約書の中身、成年後見の申立て、死後事務委任契約、遺言など。法的な判断が必要なことは、ここへ。各地の弁護士会・司法書士会、法テラス(日本司法支援センター)で相談の案内を受けられます。市区町村の無料法律相談を使う方法もあります |
| 成年後見センター・権利擁護の窓口 | 市区町村や社会福祉協議会が、成年後見に関する相談窓口(中核機関など)を置いていることがあります。後見制度を使うかどうかから相談できます |
- 介護保険被保険者証(要介護認定を受けている場合)
- 年金額が分かるもの——年金振込通知書など。費用の見通しを立てるのに使います
- これまでに施設から言われたことのメモ——「どこの施設で、どう言われたか」。具体的なほど話が早いです
- ⑥で書いた「5つの役割の書き出し」——埋まらない欄があるまま持っていって構いません
- 本人の状態が分かるもの——お薬手帳、診断書など、あれば
担当は住んでいる地域(住所)ごとに決まっています。本人が住んでいる地域のセンターが窓口になります。離れて暮らす家族が、実家のある地域のセンターに電話をかけて相談することもできます。
相談窓口については、介護の相談はどこにすればいい?無料で使える相談窓口まとめで、それぞれの窓口の役割をくわしく整理しています。
⑪ 引け目を感じなくて大丈夫です
最後に、これを書かせてください。
保証人の欄で手が止まったとき、多くの方が「自分の家族関係が普通じゃないのだろうか」と感じます。窓口で「ご家族は?」と聞かれるたび、少し身が縮む思いをする方もいます。
それは、感じなくていいことです。
子どもがいないことも、きょうだいと距離があることも、配偶者を先に見送ったことも、親戚と行き来がなくなったことも——どれも、責められるようなことではありません。人生には、それぞれの事情があります。
そして、こうした状況はいま急速に増えています。だからこそ、国が通知を出し、事業者向けのガイドラインが作られ、制度の見直しが進められているのです。制度のほうが、まだ追いついていない。それだけのことです。
- 「保証人がいない」は、施設探しの終わりではありません——相談してみる価値は十分にあります
- 一つの施設の答えが、全部の施設の答えではありません——考え方は施設によって違います
- 役割は分けられます——全部を一人で背負う必要はありません
- 公的な窓口は、無料で相談できます——地域包括支援センターは、こういう相談のためにあります
- 急いで契約しなくて大丈夫です——不安をあおられて、その場で決める必要はありません
- 一人で調べ続けなくていいのです——専門職に話すと、自分では見えていなかった道が見えることがあります
そして、この問題を抱えて動いている方は、たいてい他のことも抱えています。介護をして、手続きをして、仕事をして、そのうえで保証人を探している。それは、想像以上の負担です。
介護する家族の心のケア|共倒れしないためにに、疲れのサインと、休むための考え方をまとめています。自分の消耗には、自分では気づきにくいものです。
📌 まとめ
- 「保証人を頼める人がいない」のは、めずらしいことではありません。厚生労働省の資料で紹介されている調査では、入所(入院・入居)時に本人以外の署名を求めている施設が95.9%にのぼるとされており、多くの家庭がここでつまずいています
- 身元保証人に求められる役割は、大きく①費用の支払いの保証 ②緊急時の連絡先 ③医療や治療方針の相談 ④退所時の対応 ⑤亡くなったあとの対応の5つ。これを一人が全部引き受ける必要はありません
- 身元保証人・身元引受人は、介護の場面では法律で厳密に定義された言葉ではありません。連帯保証人は法律上の定めがあり、本人と同じ立場で支払う義務を負います。名称ではなく、契約書に何が書かれているかを確認してください
- 2020年4月施行の改正民法により、個人が保証人となる根保証契約では、上限額(極度額)を定めなければ効力を生じないとされています(民法第465条の2)。「いくらまでの責任か」を必ず確認を
- 厚生労働省は、「介護保険施設に関する法令上は身元保証人等を求める規定はなく、身元保証人等がいないことはサービス提供を拒否する正当な理由には該当しない」という趣旨の通知を出しています(平成30年8月30日 老高発0830第1号ほか。令和7年7月30日一部改正)。ただし「必ず入居できる」という意味ではありません。まず相談してみる価値がある、ということです
- 施設には早い段階で率直に伝える。「保証人がいません」で終わらせず、「どの部分がご心配ですか」と聞き、一つずつ答えていくほうが話が進みます。ケアマネジャーに同席してもらうのも有効です
- 成年後見制度は、身元保証人の代わりにはなりません。後見人は本人のために財産管理や契約手続きを行う立場で、債務の保証や医療行為への同意は役割に含まれないとされています。ただし支払いや手続きの見通しが立つことで、受け入れにつながる場合はあります
- 後見制度には費用がかかる、途中でやめにくい、後見人を選べないといった負担面もあります。2026年6月に改正法が成立・公布され、必要な期間だけ使える仕組みなどが盛り込まれたとされていますが、施行時期は今後の政令で決まります。最新情報は法務省や専門家へ
- 社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」は、日常的なお金の管理や書類の預かりを支える仕組みです。保証人の代わりにはなりませんが、支払いの安定という点で助けになる場合があります
- 民間の身元保証サービス(高齢者等終身サポート事業)については、2024年6月に国の事業者ガイドラインが公表されています。一方、国民生活センターには契約内容の理解不足、解約時の返金、想定より広い契約になっていたといった相談が寄せられています
- 契約前に確認したいのは、サービス内容が書面にあるか/費用の内訳(入会金・預託金・都度払い)/預けたお金の管理/解約と返金の条件/事業者が倒産した場合/不要なサービスが入っていないか/その場で契約を急がせないか/一人で契約しないこと
- 亡くなったあとの対応は死後事務委任契約という仕組みがあります。費用の出どころを決めておくこと、親族に伝えておくことが大事です。誰も引き取る人がいない場合も、市区町村が火葬・埋葬を行う仕組みがあります
- 迷ったら、まず地域包括支援センター。無料で、家族からでも相談できます。市区町村の窓口、社会福祉協議会、消費生活センター(188)、弁護士・司法書士も、それぞれの役割で頼れます
- 引け目を感じる必要はありません。制度のほうが、まだ追いついていないだけです
「保証人がいないと入れない」と言われた瞬間、目の前が真っ暗になったかもしれません。けれど、その一言で終わりではありません。
役割を分けて考える。施設に率直に相談する。公的な窓口を使う。制度の仕組みを知っておく。できることは、思っているより残っています。
そして、この問題は一人で解決するようにはできていません。だから相談窓口があるのです。明日でも来週でも構いません。地域包括支援センターに電話をかけて、「保証人のことで困っています」と言ってみてください。そこから、話が動き始めます。
「必ず入居できます」といった断定はしていません。施設の運用は個別に異なり、契約や法律に関わる判断は、それぞれの事情によって結論が変わります。
特定の民間サービスをすすめることも、否定することもしていません。お伝えできるのは、仕組みの説明と、確認するとよい点までだと考えています。
施設の受け入れや介護保険の手続きについては地域包括支援センター・市区町村の窓口・担当のケアマネジャー、契約や成年後見・死後事務・遺言については弁護士・司法書士などの専門家、民間サービスの契約トラブルについては消費生活センター(消費者ホットライン188)に、それぞれご相談ください。
また、制度は見直されることがあります。とくに成年後見制度は改正が進んでいる段階です。最新の内容は、必ず公的な窓口でご確認ください。
- 厚生労働省老健局「市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について」(平成30年8月30日 老高発0830第1号・老振発0830第2号)——身元保証人等がいないことはサービス提供を拒否する正当な理由に該当しないこと、都道府県等による指導・監督について。令和7年(2025年)7月30日付で一部改正され、「身元保証等高齢者サポート事業」が「高齢者等終身サポート事業」に改められています(介護保険最新情報Vol.1409)
- 介護保険施設の運営に関する基準省令——正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないとされていること
- 厚生労働省の資料で紹介されている調査結果——介護施設への入所(入院・入居)時に本人以外の署名を求めている施設が95.9%であること、施設が身元引受人等に求める機能・役割について
- 内閣官房(身元保証等高齢者サポート調整チーム)ほか関係府省庁「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(令和6年6月)——対象となるサービス(身元保証等サービス・死後事務サービス・日常生活支援サービス)、費用や預託金の示し方について。厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1273(令和6年6月11日)ほかで周知
- 消費者庁「いわゆる『高齢者等終身サポート事業』の利用に関する注意点」——サービス内容と支払い能力の確認、消費生活センター・地域包括支援センターへの相談について
- 国民生活センター「身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意」(2019年5月30日公表)ほか——契約時・解約時のトラブル事例について
- 法務省「保証に関する民法のルールが大きく変わります」——2020年4月1日施行の改正民法、個人根保証契約における極度額の定め(民法第465条の2)について
- 成年後見制度に関する公的な案内・専門職団体の解説——後見人の職務の範囲、医療行為への同意権が認められていないとされること、費用や期間に関する負担について
- 民法等の一部を改正する法律(成年後見等関係)——2026年(令和8年)6月に成立・公布されたとされる改正の概要と、施行時期が今後定められること。詳細は法務省の案内をご確認ください
- 厚生労働省「日常生活自立支援事業」に関する案内、および各社会福祉協議会の公表資料——対象となる方、支援の内容、利用料の考え方、成年後見制度との違いについて
- 厚生労働省の医療機関向けガイドライン——身寄りがない方の入院や、医療に係る意思決定が困難な方への支援に関する考え方について